学生のための貯蓄と投資の違い:将来設計を始める第一歩
学生生活を送る中で、「将来のために何か備えておきたいけれど、何から始めれば良いか分からない」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、お金に関する知識は、学校ではあまり学ぶ機会がなく、難しそうだと敬遠してしまうこともあるかもしれません。
しかし、将来の選択肢を広げ、安心した生活を送るためには、学生のうちからお金に関する基本的な知識を身につけておくことが、自分自身への大切な投資となります。今回は、将来設計を始める第一歩として、お金を貯める「貯蓄」と、お金に働いてもらう「投資」の基本的な違いについて分かりやすく解説します。
貯蓄とは?身近な「ためる」方法
貯蓄とは、一般的に銀行の普通預金や定期預金にお金を入れておくことを指します。これは、最も身近で分かりやすいお金の「ためる」方法です。
貯蓄のメリット
- 安全性が高い: 預けたお金が大きく減るリスクは非常に小さいです。銀行が破綻した場合でも、預金保険制度によって一定額まで保護されます。
- いつでも引き出せる: 普通預金であれば、必要な時にいつでもお金を引き出すことができます。急な出費にも対応しやすい安心感があります。
- 仕組みがシンプル: 専門的な知識がなくてもすぐに始めることができます。
貯蓄のデメリット
- ほとんど増えない: 現在の日本では、銀行の金利は非常に低いため、預けていてもお金はほとんど増えません。物価が上昇(インフレ)すると、お金の価値は相対的に目減りしてしまう可能性もあります。
貯蓄は、当面の生活費や近い将来使う予定のあるお金(旅行資金、学費の一部など)を準備するのに適した方法と言えます。
投資とは?お金に「働いてもらう」考え方
一方、投資とは、自分のお金を株式や投資信託などの金融商品に換え、それを運用することで将来的に資産を増やそうとする試みです。これは、お金に自分自身の代わりに「働いてもらう」という考え方です。
投資の仕組みの基本
投資したお金は、企業の成長や経済全体の動きなどによって価値が変動します。価値が上がれば利益を得られますが、価値が下がれば損失が出る可能性もあります。
投資のメリット
- お金が増える可能性がある: 貯蓄と比べて、より大きく資産を増やせる可能性があります。企業の成長による配当金や株価の上昇、投資信託の値上がりなどが考えられます。
- 複利の効果が期待できる: 得られた利益を再び投資に回すことで、利益が利益を生み出す「複利」の効果が期待できます。これは、雪だるまが坂道を転がるうちにどんどん大きくなっていくイメージに似ています。特に、時間を味方につけられる若い時期からの投資は、この複利の効果を最大限に活かせると言われています。
投資のデメリット
- 元本割れのリスクがある: 投資したお金(元本)よりも、資産の価値が下がってしまう(元本割れ)可能性があります。必ずしも利益が得られるわけではありません。
- 知識が必要: どのような金融商品に投資するか、経済の状況をどう判断するかなど、ある程度の知識や情報収集が必要です。
- 価値の変動がある: 短期的に見ると、市場の状況によって資産の価値が大きく変動することがあります。
投資は、将来使う予定のないお金を、時間をかけてゆっくりと増やしていくことに向いています。
貯蓄と投資:将来設計における使い分けの考え方
貯蓄と投資は、どちらが良い・悪いというものではなく、それぞれ異なる役割を持っています。将来設計においては、これらをバランス良く組み合わせることが大切です。
- まずは「守り」の貯蓄: 万が一の事態や近い将来の目標のために、すぐに必要になるお金は貯蓄で準備しておくと安心です。数ヶ月分の生活費などを目安に、まずは貯蓄の習慣をつけることから始めましょう。
- 長期的な「増やし」の投資: 当面使う予定のないお金については、将来の目標(住宅購入、老後資金など)に向けて、少額からでも投資を検討してみる価値があります。特に学生のように、まだ資産が少なくても、これから長い時間をかけて運用できるメリットは大きいです。
学生が将来のためにお金について知るべき理由
なぜ、お金に関する知識、特に貯蓄と投資の違いを学生のうちから知っておくことが重要なのでしょうか。
- 選択肢が広がる: お金に関する正しい知識があれば、将来どのような働き方を選ぶか、どのようなライフプランを描くか、といった選択肢をより賢く、より自由に選べるようになります。
- 漠然とした不安の解消: 将来のお金に対する漠然とした不安は、知識を得ることで具体的にどうすれば良いかが見えてくるため、軽減されます。
- 長期的な視点の習得: 貯蓄や投資は、短期間で劇的な結果が出るものではありません。将来のために計画を立て、コツコツと実行する長期的な視点を養うことができます。これはお金に限らず、様々なことにも応用できる大切なスキルです。
- 社会とのつながりを理解: 金利、物価、経済ニュースなどが、自分自身のお金や生活にどう影響するのかを理解することは、社会の仕組みを知る上で役立ちます。
まずは「知ること」から始めよう
学生の皆さんが、いきなり大きな金額を投資する必要はありません。まずは、今回解説した貯蓄と投資の基本的な違いを理解することから始めてみてください。
インターネットや書籍、セミナーなど、お金に関する情報を学ぶ方法はたくさんあります。ただし、中には不確かな情報や、学生を狙った怪しい儲け話などもありますので注意が必要です。信頼できる情報源を選び、焦らず、一歩ずつ知識を深めていくことが大切です。
将来の自分のために、今日から少しずつお金について学び、賢くお金と付き合っていくための第一歩を踏み出しましょう。